三人は共に青春を駆け抜け、果てしなく広がる“せかい”の輝きに触れる。
日本が世界の渦に巻き込まれていく江戸末期。
寺子屋で子供たちに読み書きを教えている主人公おきく(黒木華)は、ある雨の日、厠(寺所有の公衆便所)のひさしの下で、雨宿りをしていた紙屑拾いの中次(寛一郎)と、下肥買いの矢亮(池松壮亮)と出会う。武家育ちでありながら今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事につく中次と矢亮。侘しく辛い人生を懸命に生きる三人はやがて心を通わせていくが、ある悲惨な出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失ってしまう…。
日本映画界を長年にわたり牽引してきた阪本順治監督 30 作目で初のオリジナル脚本による本作は、貧しい時代に逞しく生きる若者たちの姿を通じて、<人と人のぬくもり>と<いのちの巡り>を瑞々しく描いた、阪本監督の新境地ともいえる作品。
人々があらゆる物を大切に使い、人間の排泄物さえも肥料とし、限られた資源を使い尽くす江戸時代の<循環型社会>をテーマにしながら、人情の温かさ、青春の光、生のきらめきが墨絵のように美しいモノクロ映像で綴られる至高の青春ドラマ。
第52回ロッテルダム国際映画祭 ビッグスクリーンコンペティション正式出品
第97回キネマ旬報ベスト・テン
- 日本映画ベスト・テン第1位(日本映画作品賞)
- 日本映画脚本賞(阪本順治)
脚本・監督
阪本順治
出演
黒木華、寛一郎、池松壮亮ほか
配給
東京テアトル/リトルモア/U-NEXT
2023年4月28日全国公開
映画公式サイト
sekainookiku.jp