原田満生 – Mitsuo Harada
映画美術監督/YOIHI PROJECT 代表
『YOIHI PROJECT』は志のある映画を創り、人々に伝えていく革命
ある日突然、癌を宣告され、大病を患い、死と向き合うことになった。そこで感じたのは、「今を生き、何かを残し、伝えていくこと」の大切さだった。
また、映画には優れた知性と可能性があることを実感した。これから私たちは、何を大切に生きるべきなのか?その問いの答えが、YOIHI PROJECTの誕生だった。
この国のエンターテイメントには、社会的なメッセージが込められたものが少なく、表面的な娯楽ばかりが目立っていた。もっと、社会的なメッセージとエンタメが融合した映画を創る必要性を感じた。
自然、動物、人間、地域、文化、伝統、芸術など、地球で織りなすさまざまな関係性と循環の中で、独自の物語が生まれていく。その物語には、社会的なメッセージが含まれており、それを映画を通じて伝えていくことが重要だ。これから私たちは、何を大切に生きるべきなのか?その問いへの答えにも繋がる。
映画には、もっと可能性があり、物語にもさらなる可能性がある。私たちYOIHI PROJECTは、未来の世代や子孫に何を伝えるべきかを考え、映画を持続可能なものにしていかなければならない。
私たちYOIHI PROJECTの映画を通じて、メッセージを受け取った一人一人が、自発的に知識を育み、それを次世代へと継承するための土壌を作り上げていく。
100年後の子孫たちが、YOIHI PROJECTの映画を観て何を感じるだろうか?それは壮大な楽しみだ。
映画には、可能性があり、優れた知性が宿っている。YOIHI PROJECTは、その映画を未来に繋ぐ架け橋であり、志を持った映画を創り、人々に伝えていく革命です。
1965年、福岡県生まれ。
『愚か者 傷だらけの天使』(1998年/阪本順治監督)で美術監督としてデビュー。その後、『顔』(2000年/阪本順治監督)や『ざわざわ下北沢』(2000年/市川準監督)で毎日映画コンクール美術賞や藤本賞特別賞を受賞。さらに、『舟を編む』(2013年/石井裕也監督)や『日日是好日』(2018年/大森立嗣監督)でも毎日映画コンクール美術賞を受賞。また、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(2007年/松岡錠司監督)、『亡国のイージス』(2005年/阪本順治監督)、『北のカナリアたち』(2012年/阪本順治監督)、『テルマエ・ロマエ』(2014年/武内英樹監督)、『許されざる者』(2013年/李相日監督)、『散り椿』(2018年/木村大作監督)などで日本アカデミー賞優秀美術賞を受賞。
その他にも、『TOKYO!(SHAKING TOKYO)』(2008年/ポン・ジュノ監督)、『テルマエ・ロマエⅡ』(2014年/武内英樹監督)、『バンクーバーの朝日』(2014年/石井裕也監督)、『深夜食堂』(2015年/松岡錠司監督)、『半世界』(2019年/阪本順治監督)、『ゆきてかへらぬ』(2025年/根岸吉太郎監督)など、多数の映画で美術監督を務める。
さらに、プロデューサーとしても幅広く活動しており、『せかいのおきく』(2023年/阪本順治監督)では企画、プロデューサー、美術を担当。第97回キネマ旬報ベスト・テンで日本映画第1位、第78回毎日映画コンクール日本映画大賞など、数々の栄誉ある賞を受賞。
藤島義之 – Yoshiyuki Fujishima
YOIHI PROJECT テクノロジー・イノベーション・ディレクター
自然は子孫から借りている
産業⾰命以降の化⽯資源の恩恵で我々は重労働から解放され、豊かな⽣活を送ることができるようになりました。化⽯資源を潤沢に使⽤することで⾷糧も増えました。⼀⽅で、プラスチックや化学繊維の処理が追いつかないほど溢れて環境を汚し続けています。化⽯資源の多くが⼆酸化炭素、メタン等に変わり、温暖化が進んでいます。
⽇本では1970年代のオイルショックを機に、化⽯資源への依存から脱却するための研究開発が産官学でなされていました。しかし、⽇本の⽬指してきた経済活動は世界からすると異端であり、脱化⽯資源を⽬指す本来の⽬的は果たせずにいます。⽇本という国は、⾃然との共⽣を古来から価値としている国⺠性があります。未来のために、気候変動課題やサスティナビリティに経済活動を移さねば気がついた今がまさに全世界の⽬を⽇本の美しい⽂化に向ける時期なのではないかと感じています。
開国前の⽇本はすべてを循環させ⼈の暮らしを成り⽴たせていました。江⼾時代の⽇本の⼈⼝は3000万⼈を超え、江⼾だけでも100万⼈が暮らしていたと⾔われております。その頃の江⼾に出来ていたのですから、今の⽇本ならばもっと優れた社会を創れるのではないでしょうか。そんな気づきを『せかいのおきく』やYOIHI PROJECTで可視化していければ良いと思っています。
英国オックスフォード⼤学有機化学専攻PhD
1995年から味の素株式会社にて健康、栄養、⾷品加⼯などの研究開発、事業育成、技術広報に従事。出向にて⼀般財団法⼈バイオインダストリー協会と国⽴研究開発法⼈新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に勤務し、世界のバイオエコノミー政策、技術トレンドを研究。YOIHI PROJECTのテクノロジー・イノベーション・ディレクターに2022年3⽉から就任。2022年末に味の素株式会社を退職し、現在、株式会社農林中⾦総合研究所勤務、またOECDバイオ、ナノ、コンバージンクテクノロジー作業部会ビューローメンバーとしても活動。
五十嵐圭日子 – Kiyohiko Igarashi
YOIHI PROJECT プロジェクト・フェロー
地球に負荷をかけずにヒトが生きる方法とは?
バイオエコノミーに関する情報が⽇本に届き始めたとき、多くの⼈が⾃分たちには関係ない話だと思っていました。「⽣物圏に優しい(負荷をかけない)経済活動」と捉えてもっと多くの⼈が取り組むべきだと⾔い続けてきましたが、そのような中で⽇本でもSDGsが浸透しはじめ、国として脱炭素社会(カーボンニュートラル)に向かうという決断をしました。
⼀⽅、欧州でバイオエコノミーは循環型社会を意味するサーキュラーエコノミーと合流して「サーキュラーバイオエコノミー」にアップグレードし、最近ではウェルビーイングや⽣物多様性とも同時に語られるようになっています。これら全ての根本にあるのは「⾃然がきちんと動いていてはじめて⼈間は幸せに⽣きていくことができる」という考え⽅で、「ネイチャーポジティブ」という⾔葉に集結しようとしているのが世界潮流と⾔えます。現代の⽇本⼈がこのような流れに乗り切れていないのは明らかですが、実はたった160年前の⽇本⼈の⽣活は、まさにサーキュラーバイオエコノミーだったという“気づき”を与えてくれるのが『せかいのおきく』であると⾔えます。ご覧頂いた皆様が、幸せとは何か、⾃然と⼈間との関係を考える機会となることを祈っています。
東京⼤学⼤学院農学⽣命科学研究科教授/総⻑特任補佐。
2016年からはフィンランドでも教職に就き、⽣物圏に負荷をかけない経済活動である「バイオエコノミー」の実現を⽬指すとともに、東京⼤学にOne Earth Guardians(地球医)育成プログラムを⽴ち上げる。⽶科学誌「サイエンス」を含む200を超える論⽂や著書、⽇本学術振興会賞、市村学術賞など数々の受賞の他に、酵素研究に関するギネス世界記録も保持する。
池松壮亮 – Sosuke Ikematsu
俳優/YOIHI PROJECT クリエイティブ・フェロー
YOIHI PROJECT のお話をお聞きして、その取り組みとスローガンに深く共鳴しました。
100 年後にも残る映画を創るということを目指し、世界を循環するものと捉え、伝えるべき映画を後世に伝えていきたいというとてもシンプルな決意に感銘を受けました。
俳優として、YOIHI PROJECT と同じ志のもとにありたいと思っています。
1990年、福岡県生まれ。
『ラストサムライ』(03)で映画デビュー。その後数々の映画やドラマに出演。2014年に出演した『紙の月』、『ぼくたちの家族』等で、第88回キネマ旬報ベスト・テン助演男優賞、第57回ブルーリボン賞助演男優賞、他多数の映画賞を受賞。2017年『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』、2018年『斬、』、2019年『宮本から君へ』で第39回ヨコハマ映画祭主演男優賞、第93回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞、第32回日刊スポーツ映画大賞主演男優賞、他多数の主演男優賞を受賞している。近年の主な映画出演作に『ちょっと思い出しただけ』(22)、『シン・仮面ライダー』(23)、『せかいのおきく』(23)『白鍵と黒鍵の間に』等がある。2023年度には、第74回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。2024年の公開作として、『ぼくのお日さま』、『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』、『本心』がある。