ニューヨーク・アジアン映画祭レポート!阪本順治監督より生涯功労賞受賞コメント到着
映画『せかいのおきく』(全国公開中)の阪本順治監督が、「ニューヨーク・アジアン映画祭」にて「スター・アジア・ライフタイム・アチーブメント賞(NYAFF Star Asia Lifetime Achievement Award)」を受賞。現地時間7月16日に行われた授賞式に阪本監督が登壇、『せかいのおきく』の上映&QAにも出席しました。
「ニューヨーク・アジアン映画祭(NY Asian Film Festival)」は北米でもっとも由緒あるアジア系映画祭。Star Asia Lifetime Achievement Awardは、「スターアジア生涯功績賞」と翻訳され、「長年優れた作品にて、何世代にも渡る映画製作者と観客に影響を与えてきた、特別な才能の人物に与えられる賞」として、過去には、ツイ・ハーク、ジャッキー・チェン、レオン・カーフェイ、ユエン・ウーピン、アン・ホイなど錚々たる映画監督たちが受賞しており、日本からは岩井俊二監督(2016年)、原田眞人監督(2018年)、清水崇監督 (2022年)に続く、4人目の受賞となります。
阪本監督はニューヨークで行われた授賞式で、「今までたくさんの海外映画祭から招待されたが、私個人の賞を頂くのは初めてです」と改めて喜びをかみしめた様子。「日本の映画界に入って43年」「映画監督をはじめて35年」「最新作『せかいのおきく』がちょうど30本目の監督作品」と、自身のキャリアを振りかえり、「その30本の作品に関わったすべての人に感謝したいと思います」と謝辞を述べると、会場から大きな拍手が起こりました。
また、上映後のQ&Aでは、糞尿を売り買いし、循環型経済が成り立っていた江戸時代を物語背景として描いた点についてニューヨークの観客も興味津々の様子で多くの質問があがりました。阪本監督は「出演者もこんな「うんち」だらけの映画は初めてです(笑)。作り物ですが廃棄された食材を利用して作っていたので、発酵した匂いがしてきて臭いのは仕方がない。皆さん笑っていましたね。笑うしかない。「うんち」の美術スタッフはいろいろ改良を重ねて、素材も変えたり試行錯誤しました。映画では身体につくシーンもあるので、目や口に入っても害のないものを作るために、廃棄された食材を利用したり。端的にいうと「食べられるうんち」にたどり着いたんです(笑)。」と撮影裏話を明かしました。更には日本のハイテクなトイレ事情にも話題がのぼり、阪本監督は、おしり洗浄付きトイレが日本で発達したきっかけなど、知識を披露する場面もありました。
最後に阪本監督は、「うんちの話ばっかりでしたね(笑)。ありがとうございました。」と挨拶すると、会場内は大きな拍手と笑いに包まれました。
阪本順治監督 授与式でのコメント
まずはニューヨーク・アジアン映画祭に感謝したいと思います。ありがとうございます。
僕は今年で、映画監督をはじめてから35年になります。
今まで海外の映画祭からたくさんの招待をして頂きましたが、私個人の賞を頂くのは初めてです。
今から43年前、僕が22歳の時に日本の映画界に入りました。
その時の僕のパートは大道具でした。腰にノコギリや金づちをぶら下げて、撮影現場を走り回っていた僕が、将来このような賞をもらえるとは夢にも思っていませんでした。
今から見て頂く『せかいのおきく』はちょうど30本目の作品になります。
その30本の作品に関わったすべての人に感謝したいと思います。そして、映画ファンの皆様にも、ありがとうございました。
佐藤浩市さんからのコメント
知識と経験だけで創作することを潔しとしない阪本順治監督は常にこれまでの自身の作品を超えることを渇望し、チャレンジしています。
今回の受賞はそんな阪本監督のもの造りに対する栄誉かと。おめでとうございます!
佐藤浩市
▼ニューヨーク・アジアン映画祭(NY Asian Film Festival)
https://www.nyaff.org/
『せかいのおきく』
全国公開中
脚本・監督:阪本順治
出演:黒木華 寛一郎 池松壮亮 眞木蔵人 佐藤浩市 石橋蓮司
製作:FANTASIA Inc./YOIHI PROJECT
制作プロダクション:ACCA
配給:東京テアトル/U-NEXT/リトルモア
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