カウリスマキ兄弟による世界最北、白夜の映画祭!ミッドナイトサン映画祭編

ミッドナイトサン映画祭

ミッドナイトサン映画祭とは

https://msfilmfestival.fi/en/
「ミッドナイトサン映画祭」は北極圏に位置する、フィンランド北部、ラップランド地方のソダンキュラという都市で行われる、世界最北の映画祭です。フィンランドの巨匠、アキ・カウリスマキ&ミカ・カウリスマキ兄弟がフィンランドの映画人たちと1986年に始めた映画祭で今年で36回目を迎えました。ラップランドの夏は6月から8月の3か月間で、北極圏のため白夜になり24時間日が沈みません。そのため、白夜の映画祭として4会場で夜通し映画が上映されます。今年の来場者は約30,000人とのことで、ほとんどがフィンランド国内の観客です。今回日本映画は『せかいのおきく』のみが上映されました!

日本人はもちろん、アジア人も訪れることが少ない映画祭です。私以外になんとおひとり日本人の女性を発見!彼女はカウリスマキ監督のファンで、彼が作った映画祭ということで初めていらしたそうです。

ラップランドの美しい自然に囲まれて行われる。ソダンキュラは人口約8,000人の小さい町。
深夜2:00の太陽。白夜のため太陽は24時間沈まず、このまま再び陽は昇り昼のような日差しに戻る。長い冬を経て、フィンランドの人たちは夜通しで日の光とイベントを楽しむ。

『せかいのおきく』上映~ミッドナイトサン映画祭

CINEMA LAPINSUU

2023年6月15日AM10:15
上映会場: CINEMA LAPINSUU
https://lapinsuu-fi.webnode.fi/yhteystiedot/
6月15日に『せかいのおきく』の上映が行われました。上映会場は町にある唯一の映画館CINEMA LAPINSUU。
前々日には前売券が完売!そして当日は上映前に長蛇の列が!観客はヘルシンキや地元から参加しているフィンランドの人々で若者から年配の方まで幅広い年齢層でした。

長蛇の列!

映画祭のHPにて『せかいのおきく』の紹介文を書いてくださった映画評論家のオラフ・モラーさん(Olaf Möller) による上映前の挨拶がありました。なんとオラフさんは阪本順治監督の作品を全部観ている阪本順治通!『せかいのおきく』の江戸時代の市井の人々の描き方がいかにすばらしいか、力強く解説してくださいました。

「うんたろう」もドキドキ
阪本監督通のオラフ・モラーさん

『せかいのおきく』上映~観客インタビュー

上映後に観客の方に感想を伺いました。
『せかいのおきく』の日本版チラシを持って、インタビューをお願いしようとキョロキョロしておりましたら、多くの方から話しかけられました。日本人が珍しかったのか、映画の関係者と知って、とにかく感想を伝えたかったのか、とても嬉しかったです。
上映中、これはどの国でも感じることですが、リアクションが素直で大きい!池松壮亮さんが演じる矢亮が手でうんちをすくうシーンでは、笑いと悲鳴のような「Nooo!!」という声が(笑)でも、ラストの雪のシーンではみなさんが息を呑んで、二人を見守ってくださっているのが暗くてもわかりました。制作側としては、本当に嬉しい限りの反応でした。

美しさとうんちという相反するものが共存していて、とても面白く素敵な映画でした。おきくのキャラクターがとても愛らしく、ラストの二人が抱き合うシーンがもっともお気に入りのシーンです。
(ヘルシンキ在住)

人々の日々の生活が物質的なアプローチとともに描かれていることがすごい。
地べたの人というか下層階級から現象を見ていてとても新鮮な描き方だと思った。
とてもクールな映画。
(ユヴァスキュラ在住)

なんてロマンチックな映画なんだ。泣いてしまった。
そして本当に笑った。我々は毎年この映画祭に来ている。本当にいい映画祭なのでまた来て欲しいよ。
(ヘルシンキからのグループ)

ラストで胸を叩いておきくに想いを告げるところが、言葉にならない最高の「I love you」だと思って感動してしまった。モノクロから一瞬カラーになるのもとても美しい。
(トゥルク在住)

次の記事へ続く

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